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プラットフォームのkaitoのレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
3.3
『プラットフォーム』ネタバレするよ

まず最初にある引用を
1st meaning of 333 : Ascended masters are guiding you to move forward.

『プラットフォーム』という映画を観た。閉鎖的な空間で映画が展開されていくシチュエーションスリラー。不気味な雰囲気が常にあって、興味深い映画だったというのが第一印象。映画の内容よりもまずは技術等の話をする。

脚本・演出で気になる点がチラホラあった。まず最初に規制の件。これは配給が大きく関わってるんだろうけどモザイク処理は変に加工されてる分、個人的には映画から気持ちが離れてしまう。加工されてるシーンが1シーンあって、モザイクのところに変に集中してしまった。映倫15歳以上にするための判断だとは思うんだけど、18歳以上にしてモザイクもなしにしてほしかった。集客力をとるか作品のありのままを大事にするか、個人的には後者であってほしかった。また犬を連れてきた女性が取る行動として理解できないものがあった。なぜ殺人をする女性を助けたのだろうか?ここは疑問点である。僕が見逃してるだけの可能性もあり。

演技力に関しては、特筆する人がいなかった。シチュエーションのほうが印象的だから、演技とか役者が弱い。カメラワークも少しダサいなと感じることがあった。ダサいと言うと語弊があるから、別の言い方をすればそのショットが生きてない。技術面諸々の観点で見れば、並の映画ではあったような気がする。

それに反してテーマ性はかなり興味深い。いわゆる格差社会を可視化したもの。列車の前後関係で格差社会を表したポン・ジュノ監督の『スノーピアサー』に対して、今作は分かりやすく上下関係で示されている。上から順々に配布される食事は富であることはおそらく明らかだと思う。ただそれだけには留まらないのがこの映画の味な気がする。資本主義社会の風刺もあるのは確かだが、人間の真理を風刺する描写も(個人的ではあるが)感じた。人間の肉を食したり等目的のために手段を選ばなかったり、人間の核と捉えられるものが描かれているのもかなり興味深かった。

上下と言ったが、フロアは1〜333まである。333という数字に着目するとエンジェルナンバーで「アセンデッドマスター(精神的啓発者)が自分を導いてくれる」という意味合いがあるのを調べた。たしかに富が精製される1よりも上のフロアにいけるのは333の人である。(333までいくと高速で上まで戻っていくため)社会的弱者が上の人とコンタクトを取れるという希望を見せたテーマなのかは分からないが、仮にそうだとしてテーマ性やメッセージ性としてはいいが、あまり映画の色にはあっていない気がしたな。こういうことはインタビュー等を見ないとわからないかも。

普通に観て、飽きずに観て楽しめた映画だった。あまり心には深く残らなかったが…。
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