主人公のゴレンは目が覚めると不思議な空間にいた。そこは塔のような建物で各階層に2人ずつ。食事は上の階から降りてくる食べ残しのみ。毎月階層が異なり、下へ行けば行くほど生きるのが困難になる。そんな状況からの脱出を目指したシチュエーションスリラー。
パッとストーリーを見ると「キューブ」を思い出すようなもの。ただあんなヤバい罠は無いものの、この状況下で恐ろしいのは食料問題。下の階層ほど食料が無くなり、飢えの可能性が出てくる。それが1ヶ月間も続く。
そこまでトリッキーな事は無いのに、その場にいる人間の醜悪な部分だけで1時間半見せきります。上の階にいる人の満腹による快適さと、下の階にいる人の空腹による絶望。
ならば上の階にいる人が食べる量を控え目にしたら、下の階の人も食料が行き渡るのでは？という考えを実行しようも、これがなかなか大変。時には殺し合いにまで発展したり、絶望して自殺する人まで出る事態。まるで人間社会の縮図を見せられているかのよう。
そういった今の社会メッセージを突きつけるような作品。なかなか視覚的にも心理的にもキツい場面も多くあります。好き嫌いは露骨に割れる作品ですが、限定空間でのスリラーものが好きならば一見の価値アリです。
