来夢

プラットフォームの来夢のレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
3.9
CUBE的な娯楽性の高いシチュエーションスリラーだけれど、同時に格差社会への強いメッセージを叩きつける社会風刺映画でもある。ピラミッドの上にいる人間は世の中で食料(富)の奪い合いが起きていることに気づいていても、そこに自分が関与していることは気にもとめないし、気づかないふりをする。いつ自分が転落するかもわからないが、その可能性のための準備より、今の富を満喫することに全力を注ぐ。自分の周りの死には敏感でも、見えない貧困層で起こっている死には無頓着だ。そうなってしまっている原因は「わかってはいるけれど、自分一人が頑張ったって何も変わらない」という諦めが言い訳として成り立ってしまってるところにあるんだろうな。それは事実だけれど、だったら全員が行動を起こせばいい。って言ってもね。そりゃあ無理でしょ。じゃあどうする? どうするよ。いくのか? って。弱者も強者も色んな人がいる。その十人十色を制圧したり切り捨てたりという、戦略的な面白さと過激な暴力的描写。正義や救いといった要素の同居は物事の善悪の線引き、戦争の肯定についても考えさせられる。っていう程の深みはなかったかなぁ。でもわかりやすい問題提起と娯楽性をもって映画で万人にメッセージを送るという点ではとてもよく出来ていると思います。良作。
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