真一

プラットフォームの真一のレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
4.0
 資本主義💸の悪魔性👿を極限まで描く一方、ポスト資本主義としてのコミュニズム😃❤️😃も、現代人の知性に照らして到達不可能だと看破する、鬱々としたスペインの怪映画だ。

 舞台は、何百階あるとも知れないコンクリートの密閉塔🗼。真ん中を、最上階から地底へと続くエレベーターの昇降穴が貫く。その穴を、料理🍖🥗🍰を乗せた台が上から下⬇️へと下降する。台は各層に短時間止まる。いずれの層にも囚人服姿の住人が2人👥いる。住人は、台の上の料理🍖🥗🍰で腹を満たさないといけない。当然ながら、最上階の「1層」の住人は、盛り付けたばかりのごちそうを好きなだけ食べられる。一つ下の「2層」の住人は、1階の住人が食べ残した食べ物を口にすることになる。二つ下の「3層」の住人はその残りを、三つ下の「4層」の住人は、さらにその残り🗑️をあさるしかない。これはルールでなく、摂理だ。

※以下、ネタバレ含みます❗

 本作品には「台に乗った山盛りの食事を均等に分配すれば、全員が必要なカロリー✨を摂取できる」という設定がある。だが、優位な上層の住人( ̄^ ̄)は誰ひとりとして下層の住人(>_<)の生死など顧みず、食べ散らかす。台の上に残った醜悪な残飯の山🤮。下層の者は、この吐き気を催すような残飯🗑️を素手✋でつかみ、喰うしかなくなる。40~50層はまだ残飯にありつける。悲惨なのは100層以下だ。100層より下の下層は、住人同士👥が殺し合い🔪、倒した相手の人肉🥩を食べるのが当たり前の世界になっていた。

 そう、作品の世界は、私たちが暮らす資本主義社会💰のメタファーだった。そして「豊かな富裕層を生み出せば、その富は中間層にも、低所得者層も潤すことになる」というシャンパンタワー🍾理論に対する強烈なカウンターパンチ👊だった。持てる者が富を不必要にむさぼり食い、持たざる者を死地に追いやるのが、弱肉強食🦁🦓の資本主義社会―。こうした哲学が伝わってくる。

 だが作者は、性善説を土台としたコミュニズム😃❤️😃も、欲深い現代人には机上の空論に過ぎないとみているようだ。主人公👤は、出会った1人に触発され、一つ下の住人に「さらに下の層の分ことを考え、必要な分だけ取れ」と分配を呼びかけるが、相手にされず、頭にきて怒鳴る。「言うこと聞かないと、食べ物に💩するぞ」

 この時、相棒から「そのやり方はダメ。下層には効くが、肝心の上層には通用しない」という鋭い指摘を受ける。実力と命令で従わせられるのは、自分より地位も所得も低い⤵️人々だけだという、資本主義💸制度下の権力構造を思い知らされた瞬間だ。そして主人公がつぶやいた一言が胸に刺さった。「確かに。💩は上向き⤴️に飛んでいかないよなあ…」

 格差是正と分配による共生を目指す主人公は、最後の希望を最下層の333層にいた少女👧に託すが、あの少女は主人公の幻影に違いない。最下層に着いたとき、深手を負った主人公🤕は既に絶命☠️していたと解釈するのが筋だろう。あの少女は、どう猛な資本主義💸システムからの脱却をいつの日か実現するだろう「未来世代の象徴👼」として描かれている気がする。

 本作品については、いくら映画とはいえ、複雑な経済システム💶を単純化し過ぎている嫌いがあるかもしれない。伏線未回収のシーンが多く、もやもや感も残る。だが、それでも総じて見応えのある良作と言えるのではないか。観る人を選ぶ作品だと思う。
真一

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