ざか

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のざかのレビュー・感想・評価

4.0
割と登場人物がクズばかりでハラハラしました。
…クズは語弊がありますね。アンバランスな人達ばかりです。人間味があります。

生涯向き合った仕事。
年齢や時代もあって昔の様にいかなくなったが、最後に思い出に残る大きな仕事を成し遂げたい。
画廊商として造詣も深くプライドもあり、仲間内からも信頼されていた素晴らしい方。
とは言え、家族を返り見ることはなくほったらかし。挙げ句の果てには一人娘とその孫に金の無心をする始末。
仕事一筋とサイコパスは紙一重といったところでしょうか。

でも何ででしょうね。
そんな祖父と離れて暮らしていた孫は、その血を継いでいたのか、職業体験の数日の為に来たはずが最終的にはよき理解者・相棒になっています。
何かが違えば、一緒に商売をした未来もあったのかもしれません。

愛情がなかった訳ではない。
けれど家族だからこそ、もっとこうして欲しいこうあって欲しい。違ったら「どうして」と憤る気持ちが芽生える。
悪い人ではないのに、側からみるとクズさが目に留まる。寂しいですね。

最後に全てを受け入れて、かつ家族にしてあげられる事は、と考えたときにやっぱり生涯通した絵画でしか返せないのが切なくも愛情を感じました。

とても良い映画です。
ざか

ざか