ゆめちん

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のゆめちんのレビュー・感想・評価

3.0
ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

🇫🇮フィンランドの作品で、派手な展開はないですが、丁寧に作られているのが伺え、美術や絵画に詳しくなくても十分に楽しめる作品でした。

美術商を営む72歳のオラヴィは、ネット販売が主流となり、商売に陰りが見え始めたことから、店を畳むことを考えていた。そんなある日、オークションハウスで1枚の肖像画が彼の目にとまり、署名はなかったが隠れた名画だと確信し、最後の大勝負に出ることに。

冒頭から、並木道を走る路面電車や、整然と立ち並ぶアンティークな建築物など、ロシア領時代の趣が残るヘルシンキの街並が美しく、強く印象に残る。

1枚の肖像画の謎解きから始まるストーリーは、仕事一筋で家族を顧みなかったオラヴィの、肖像画を通して少しずつ娘や孫との絆を取り戻していく過程が描かれる。
オラヴィを敢えて身勝手で不器用な人間として描いているからか、その過程がとてもリアルに感じられ、どこか切なくも映る。

この作品の中で、孫オットーの存在が欠かせない。オラヴィと同様に癖があるものの、いい相棒役となりオラヴィの足りない部分を補い、彼がいなければ娘は騙されていた・・という展開もあり、作品にいいスパイスを与えてくれた。

無駄なセリフのないラスト。煩雑に包まれた肖像画を持つ娘の表情が、いい余韻を残してくれる。

それにしても、オットーはきっといい商売人になるでしょう。将来が楽しみ!