けーすけ

弥生、三月-君を愛した30年-のけーすけのレビュー・感想・評価

2.9
2020/12/11(金) TSUTAYA DISCAS定額レンタルにて鑑賞。

昭和61年。プロのサッカー選手を目指す山田太郎(成田凌)・通称サンタは同じ学年のサクラ(杉咲花)から好意を寄せられていた。そんなサクラの親友である弥生(波瑠)もサンタの事が好きであったが、サクラの手前想いは秘めたままだった。ところが高校卒業の目前、サクラは病により突如この世を去った。残された二人はお互いの気持ちを伝えられないまま人生の荒波へ飛び込んでいくのであった・・・










高校時代から30年ほどの時間を、そして3月の31日間を1日ずつ切り取って映し出すという事で、若い時のキャストとかは別の人が演じるのかなー?って思ってたら冒頭から制服姿の成田凌に波瑠で驚いた。まあギリギリなんとか高校生。笑

杉咲花も二人とともに生きていくのかと思っていたら、びっくりするくらいの早さで退場していった。出番は序盤だけで登場時間も少なかったけど、存在感はさすが。
彼女が演じたサクラは輸血感染症によるHIV罹患者という設定で、彼女をとりまくクラスでのイジメとそれを喝破した波瑠の姿が冒頭で強く印象に残る名シーン。


という事で、出だしは「これは期待できるかな」と感じたのだけど、各エピソードがどうしてもぶつ切りになっていて深く入り込めない。時間軸も一方向への流れではなく時折回想が入ったりするのだが、いかんせん成田凌と波瑠がずっと若々しいのでどの時代かがとても分かりにくいという残念な作り。

そして舞台が宮城県だったので、避けては通れない“あの日”をどう描くのかと思っていたけど、なんだか無理やりねじ込んだ印象がぬぐい切れなかった。

31日間という、あえて制約を設けた設定なのだろうけど、これなら普通にラブストーリーとして描いたほうがもっと良い物になったのではないかなと感じてしまった。



個人的に良かった部分は、物語のキーともなるカセットウォークマンや、cdmaOneの携帯(今の若い子は知らないだろうな…)、Nintendo DSといった各年代のアイテムが懐かしくて、ちゃんと小物に気を遣っているようで好印象でしたね。


あとは波瑠のおっきな目と強い眼差しや透明感、成田凌がやさぐれた時のクズ男のハマり具合は最高なので、そこが見どころでしょうか。




観終わっての感想は「もの凄くまわりくどい30年だったなー」と。笑

あの時、手を握っていれば。あの時、ダスティン・ホフマンのようになれていれば。あの時、自分の本当の気持ちを全部さらけ出していれば。。。

とはいえ、思い描いていた人生とは違ったけど、それでも二人が生きてきた軌跡はその日のためにあったとも思わせるラスト、前向きにハッピーエンドと捉えますかね。



因みに似た雰囲気の映画で、同じ2020年公開の『糸』がありますが、本作とどっちにしようか迷ったなら『糸』をオススメします・・・。
https://filmarks.com/movies/84599/reviews/95182434


[2020-181]
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