Maoryu002

第七の封印のMaoryu002のレビュー・感想・評価

第七の封印(1956年製作の映画)
4.0
十字軍の遠征から、疫病がはびこるスウェーデンに戻った騎士アントニウス(マックス・フォン・シドー)は死神(ベント・エケロート)に死を告げられるが、チェスの対決を申し入れ猶予を得る。居城へ戻る道中でアントニウスは様々な人と出会い、彼らはそれぞれ生と死に向けて歩んでいく。

イングマール・ベルイマン作品ということで、難解さに耐える覚悟をしてたせいか、意外なほど面白かった。

突然、死神が現れるんだけど、チェスしようぜ!って意外と気さく。笑
その後もコメディかと思うほど笑える場面があるのに驚いた。

特に従者ヨンスの無神論者らしいひねくれた言葉が面白く、宗教と距離のある自分には共感ばかりだ。
“この世のものすべてが不完全だとすれば愛こそは完全な不完全” なんて粋なセリフも飛び出す。

そして、旅の仲間たちがそれぞれに怠惰、肉欲、純朴、嫉妬の象徴的な枠割を持っているのも面白い。

以下、ネタバレあり。

アントニウスは実体としての神を熱望しつつも、同時に死神との対決自体に喜びを見出しているようにも見え、一方で無欲な役者ヨフには、望まなくても聖母が見えちゃったりするのが皮肉だ。

ついには、“終わるのね” という言葉とともに一行は死を受け入れるんだけど、行動の良し悪しや、罪の大小に関係なく死が訪れるというのは、一見、神の存在への否定に見えて、実は死は恐怖や終焉ではなく、人生の一部という悟りなのかもしれない。

まあ、とにかく死神のビジュアルが強烈で、いつまでも残りそうだ。
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