SIRMA

第七の封印のSIRMAのレビュー・感想・評価

第七の封印(1956年製作の映画)
5.0
初ベルイマン!

結論から言うと、非常に絵画的でシンボリックな画の多さと様々な終末思想や死生観を強引にロードムービーに仕立てあげるその手法に圧倒され魅了されてしまいました

グレゴリオ聖歌、ヨハネの黙示録など随所に見られるキリスト教のモチーフ。十字軍遠征に疲弊した騎士の前に現れ翻弄する悍しい死の権化。中世キリスト教のクローズドな世界で横行する魔女狩りや死の舞踏…これらを狂気としていない時代が恐ろしいです。

自分の信じるべき軸が不安定な世界の中で人々が何を信じ、何を信じないのかを登場人物というメディアを通して考えさせてくれる教育的な要素もあるように感じとることができました。(従者ヨンスのリアリストぶりは清々しいくらいです笑)

主人公の一行は終盤分離しますが、それらを生と死のメタファーとして対比させて、神なんてものはいないが死神はいるということで締めくくられたことも綺麗な収め方と感じました。
(となるとあのヨフが見たマリアは何だったんだろう…)

絵画的な要素でいえば、祖国スウェーデンのフレスコ画から影響を受けたとされる死とのチェスはもちろん、死の初登場シーン、座長の背後から忍び寄る死、最後の死の参列とヨフ一家。
(個人的には終盤、主人公の妻が暖炉の前でこちらを振り返っているシーンも魅力的でした。)


まだまだ不明点も多いですが好きな作品(監督)には間違いなくなったので、次はもっと理解できるといいなぁ…
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