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シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たちのsymaxのレビュー・感想・評価

3.2
"このホモ野郎!"

レース後のインタビューにキレ、言い放ってしまった一言により、マチアスは世界水泳への出場資格を失ってしまう。

再び出場資格を得る条件として水泳連盟が出した答えは、3ヶ月後に迫ったクロアチアで開かれるゲイ・ゲームズ出場の為、ゲイの水球チーム"シャイニー・シュリンプス"のコーチをする事…

適当にやり過ごせばいいと考えていたマチアスでしたが、何よりも"自分らしさ"を重んじるチームの面々の強烈な個性に四苦八苦…なんとかゲイ・ゲームへの出場を果たしたチームは、オープンバスに乗って陸路いざクロアチアへ!…

へっぽこ水球チームを人生ピンチなコーチが立て直すスポ根モノかと思いきや、大どんちゃん騒ぎを観せられるロード・ムービーでありました。

どーも既視感があるなと思っていたら、この展開は"誰もが愛しいチャンピオン"と同じだと気が付きました。

障害者とゲイの違いはありますが、自分の事しか考えていなかった主人公がチームに関わる事で変化し人生を見直していくという展開ですね。
…やや、二番煎じと感じてしまいました…

ただ、大きく違うのは、ひたすら下品な下ネタのオンパレード…このノリについて行けるか、行けないかで評価は分かれるのではないかと…兎に角、シャイニー・シュリンプスの連中は、脱ぎたがるので少々お腹いっぱいになってしまう…

セリーヌ・ディオンネタまでは良かったのですが、クラブでの一大どんちゃん騒ぎはあんなに尺は要らないんじゃないかと思ってしまいまして…観ていて胃もたれする感じ…

とは言え、"一人で勝つより、みんなと一緒に負ける"という心にグッとくる台詞があったり、LGBTQが抱える問題をそれとなく自然に感じさせる等の見応えはありましたし、なにより"笑って笑って、じんとくる"コメディとしての完成度は高いと感じます。

一方で、シャイニー・シュリンプスのメンバーが起こすある行動に、喝采を送る人、嫌ってその場を立ち去る人〜それぞれの反応をちゃんと表現していていまして、大団円では終わりません。

LGBTQに対する理解は深まってきたとは言え、今だ残るLGBTQに対する差別や偏見等の世間の反応を観せるところはただのコメディには収まらず色々考えさせられますし、その流れからのあのエンディングクレジット…残り数分の無音は、観客に考えてみてねと呼びかけているようにも捉えられますし、中々一筋縄ではいかない作品なのでした。

…まぁ、下品は下品ですけど…
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