松井の天井直撃ホームラン

トルブナヤの家の松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

トルブナヤの家(1928年製作の映画)
-
☆☆☆★★

ピアノ伴奏付き上映会にて初見

その名前はうん十年前から知っていた。
ロシアのサイレント映画時代を代表する映画監督らしいのを。
だが、なかなかタイミングが合わずにこれまでは全くの未見。
日本だと誰にあたるのだろうう?サイレント時代のコメディー監督として考えると斎藤寅次郎辺りなのかな?…等と考えながらフイルムセンターへ。

本編が始まり、初めの3分でテンションMAX「いや〜凄い!」とにかく破茶滅茶だ٩( ᐛ )و
特にあの縦の構図で描かれる階段の描写は凄すぎる!本当に危険だぜΣ(゚д゚lll)

ところが中盤辺りから、段々と革命映画?みたいな雰囲気になって来た。

「アレ?思っていたのとは全然違って来たなあ〜」

あのまま全編階段の場面だけで進んで行けば、とんでもない映画になりそうな気もしたのだけど…。
その昔にイタリア映画で、映画本編がアパートの階段部分だけの映画が有った様な気がしたのだけど。本当に有ったかどうか?はちょっと分からない。

終盤で、気がつくとデモの先頭を歩いている場面があったのだけど。チャップリンの『モダンタイムス』で、チャップリンが旗を落とした人を「落としましたよ!」…と追いかけていたら、いつの間にかデモ隊の先頭を歩いている場面があったのだが、製作年度では此方が数年先。ひょっとしてチャップリンは参考にしたのだろうか?
また幾多の旗が高らかに掲げられた場面は。アンゲロプスが『旅芸人の記録』で記憶に残る使い方をした場面と似ていたのも、ひょっとしたら…と気になった。
この日はピアノ伴奏の上映会だっただけに。この場面から♫インターナショナル♫が鳴り響き。その後も、このメロディーは様々に変化して行った。

映画は《革命映画》の様相を色濃くさせながら、エンディングへと向かって行くのだけど。
単なるドタバタコメディーだと思っていたら。全然違う方向へ映画のベクトルが向って行き、戸惑う事しきり。
但し、その政治的な色合い及び。映画全編で数多く使われていたモンタージュの多用で、作品自体は時代に負けない1本として、長く生き残っているのかもしれないのだけれど。

まあ!それはそれとしてだ!

アヒルは何処に行ったんだ〜(@ ̄ρ ̄@)

2019年11月13日 国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール O Z U