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コンフィデンスマンJP プリンセス編のdenizのレビュー・感想・評価

3.8
「本物も偽物もない。信じればそれが真実」
久々に芯を得たポスターのキャッチコピーだった。

ある種、その道のプロたちが激しく凌ぎを削った前作に対し、今作のメインはプリンセスとなるべく祭り上げられたひよっこな「ミッシェル」。
このミッシェルがもたらす自然発生的な出来事や予期せぬ影響により、今回ばかりは絵を描いた張本人であるダー子ですら、都度計画変更を余儀なくされる。
このピュアゆえの危うさこそが、今作特有の魅力かもしれない。

個性豊かなキャラクター陣は今回も絶好調。
ルパンと不二子のような、ダー子とジェシーの関係性。
ルパンを支える次元と五右衛門なボクちゃんとリチャード。
そしてそれを追う銭形こと赤星。
最後のオチまでもはや様式美のような見事さだ。
さしずめミッシェルはクラリスか。
個性的な三兄弟、たくさんの豪華な特別出演の配役も素晴らしいが、トニー・ティンが狡い。
柴田恭兵の「お帰りなさいませ、御主人様。」は正直悶えた。笑
全てを見透かすような冷静な執事は、全貌のどこまでを把握し、その胸に秘めていたのか。

これだけの騙し合いを繰り広げながらも、悲しみも憎しみも満ちてはいない。
手に汗握って、ガハハと笑って、ちょっとほろりとさせられる。
劇場版2本目にして、まだまだシリーズとしてのポテンシャルを感じさせる会心の1作だった。
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