ニコニコニコルソン

花束みたいな恋をしたのニコニコニコルソンのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.5
絶妙なオタクに刺さる言葉の応酬で心を掴まれてしまった
映画の長さを王の帰還くらいって言ったのをホビットで切り返したり、羊文学のライブで会う人とかBAYCAMPの話出来る人なんて絶対いいよな〜って思わせてくれるようなラインがすごく良かった。
それにしても天竺鼠とかAwesome City Clubはずるいな

ブルース・ブラザーズとかナンバーガールのシャツとか着てるのやばい

感受性豊かな主人公がフリーターで幸せな生活をしている2人の現状維持をしたかったから、お金が必要で就職したけど社会人=責任という単細胞人間になっていってしまい、おそろいだった靴がどんどんズレていくのはなかなか刺さった。本屋で小説を手に取る人だったが人生の勝利学のような本を手に取るようになり、彼女が自分に向いててやりたいことをしたいからといってイベント会社に転職をすることを告げると「そんなの遊びじゃん」って一蹴するシーンが、これから就活生になる自分がああなりたくはないという大人像になっていた。人生の移り変わりで人間の中身まで変わっていく様子と、巧妙な言葉選びにこの映画の良さが詰まっていた。
だけど観客を嫌な気持ちのまま帰らせない5年間の答え合わせのための楽しい3ヶ月間が完璧だった。

麦ってビールやらパンやらパスタやら自分の形を変えて変わっていく物だけど、絹は絹のままで完成品っていうのをふと思った