ねまる

花束みたいな恋をしたのねまるのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

今村夏子の『ピクニック』は読んだことは無いけれど、
土井裕泰の『花束みたいな恋をした』を観て、何も思わない人間ではいたくないと思った。

本や音楽や映画などのカルチャーを、
観たり聴いたりして、心を動かされることって、人に備わった才能だと思っていて、そういうタイプの人間か、そういうタイプの人間じゃないか、だと思っていたけど、
"日々の生活"が心を固くしていくのだと気付いた時少し悲しくなった。
カルチャーに没頭している私は、まだまだ子供なのだろうか?甘いのだろうか?
絶対にそんなことは無いんだと。生活とカルチャーを両立させてやる。どんなに生活が圧迫してきたって、心の豊かさだけは保ちたい。
そう思うことが子供なのだろう。ならいっそ、大人になんかならないね。

2015年に大学生で、2020年に社会人である私にとって、
等身大のラブストーリーで、2時間の間で私は一つの恋を終えた気がした。
有村架純と菅田将暉の演技力に支えられて、私はあの2時間、絹ちゃんで、麦くんだった。嬉しくて、しんどかった。
少し自分の過去にも重ねて、、、泣いた。身に覚えがあった。
あんな恋はもうしないんだろうな。
でも、大切な思い出なんだよな。

坂元裕二脚本の気持ち良さに浸る余韻。
これが私たちの等身大の恋だったのだ、と30年先にも残って欲しい作品だった。
ねまる

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