個人の性格やキャラクターから深掘りをするのではなく、当時の文化や生活から大体こんなもんだろうというのを描くのは、
大体の範囲において的外れという印象を与えない.
世の「ふつうの人」がこんな暮らしをしてますよ、というのがとても「それっぽく」感じられる.
大学生を好きな音楽、小説、友達付き合い、で大体描写できてる.他に考えることないんだなぁ.
教師はもはや出てこないし、SNSは後半少し.
お仕着せやとってつけたような印象を受けなかった.この世代のこの時期はこんな感じだなぁ.
相変わらずセリフの細やかさが凄い.一歩その人の生活に踏み込んだリアリティを感じる.
その分、台詞の読み方のリアリティも求められる気はする.オダギリジョーは何処へ行っても胡散臭くてヘラヘラしていて変わらないのよい.
坂本裕二さんのこの作品に対するメッセージはなんなのだろうと考える.
恐らく登場するひとつひとつの事物に意味がある.一つひとつの事物は時間と共に古びて意味が変わっていく.
でもその中に普遍的なものを見出だそうとしてるように思う.より正確には、「その中にみんなが普遍的だと信じてるもの」を描こうとしてるというか.
抽象度をあげて普遍性を描くのではなくて、むしろ具体的に描くことでその中に普遍性を感じられるものをつくろうとしてるのが面白い.
この試みは、もしかしたら時間が経てば古臭くみえるのかもしれない.
より若い世代や年長の世代、海外とか異なる文化を持つひとがみた時にこの話は理解できない、或いは違って見えてしまうものなのだろうか.でもやはりその場合もこのくらいの具体性があって初めて伝わることもあるような気はする.
ともあれ、何事もタイミングが大切ということでしょうか.
似たような2人のその分のぎこちなさが感じられてよかった.
そういうのはたぶん変わらないのではなかろうか.