だるま

花束みたいな恋をしたのだるまのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.2
まず、すごい巧妙に男性と女性の思考のプロセスや価値観考え方のずれが描かれており、重なるところばかりで面白い。

そして現代日本社会のありようとそこのフレームワークに抵抗しつつも影響受けていくカップルの姿が実に巧みに映し出されている。
こうはなりたくないが、エゴを突き抜けなければこうなってしまうプレッシャーはやっぱり日本では常にある。


そして何よりこの映画で思ったことは、
この若者の恋愛は時代に即した映画であり、そしてこれが今の恋愛なんだ。
ということだ。


現代社会の成り行きの結果、相手との二人三脚を諦め、そのパートナーとの過去を「いい思い出」としてパッケージ化し別の人生を歩んでいく。 


恋愛は個人個人のモノであり、この恋愛を真っ向否定はしないものの、

脳から溢れんばかりの相手を思い、あなたがいれば他のことなどどうでもいい!、

というようなアツすぎる恋愛モノがかつてあったとしたら、

「思い出」として別れても共同生活をしばらくしてしまう今の恋愛は、かつてほどの熱量のない愛のようにも思え、ただそれはやっぱり情報化で多様化した生き方を知った我々の器用さなのかなと思えた。

実際問題、社会人として生きるにはこの器用さは欠かせないし、その中でしっかりと愛し合うことが大事ではあるが、
映画の中では社会どうこうはもう後回しで「お前なしでは生きてけない」状態の恋愛を見たいな、と一人つぶやいておく。

とっても勉強になったし、ステキな映画でした!
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好きな言葉は替え玉無料 です。

電車に乗っていたら→電車に揺られていたら と表現していたこと。
だるま

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