近本光司

静かなる男の近本光司のレビュー・感想・評価

静かなる男(1952年製作の映画)
3.0
いったい何を期待してわざわざフォードを観に行っているのかという感じだが、いかに著名な後期高齢者が男性的な映画ではないという読みを主張しようとも、わたしにはこの映画はかなり男性的かつ暴力的に見えてあまり素直に受け入れられず。冒頭の列車の到着のショットをひと目見て大いに期待を膨らませただけに、ざんねんだなあという気持。信じがたいほど美しいアイルランドの大地を舞台にした競争馬の下りや、小屋を飛び出したモーリン・オハラが湿地を駆けていくシーンだとか、突風のなか男たちの喧嘩に群がって賭け事に興じる村人たちの狂騒は活劇としてかなり見ごたえがある。逆にいうとそれぐらいかも。