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フロッグのJIZEのレビュー・感想・評価

フロッグ(2019年製作の映画)
3.7
少年の失踪事件が相次ぐ静観な田舎町を舞台に過去にその事件を担当した刑事宅で異変が起こる様が描かれる怪異スリラー映画!!公開当初は劇場館数が単館で、非常に公開時に観たかったが、泣く泣く断念しようやく先行配信で回収した。まず触れ込みにもある序盤45分、までの"どう転ぶか"の不穏感かつ恐怖感は、ジャケ写でのカエルのお面を被った謎の人物に主要キャラクターたちが右往左往と先読みされては揺れ動かされ、序盤だけみれば作品の方向性がまったく読めない。また同時にそれらの周到な布石が、中盤以降から効いてくるのだが、そのトリッキーな構造かつ視点軸の絡ませかたがうまい。原題の「I See You」は直訳で"あなたを見ている"。つまりそれが"誰目線か"、という部分の重層のミステリーの構図がある。何を書いてもねたばれを避けれそうに無い。簡潔に、"三幕構成の妙"につきた。二幕目だけ観れば一瞬ちがう映画にチャネルを変えたような錯覚で、別の映画のようである。抽象的に云えば『ドント・ブリーズ(2016年)』を彷彿。いわゆる報復など自警団と仲間内の友情の手垢が、エモーショナルでありつつ(とくに三幕目では)胸に迫るものがある。そこへ過去の失踪事件を二層及び三層と絡ませるツイストの因果の脚本も十分練られていると云える。後々振り返れば最初の45分後にほぼタネ明かしのような図をとらずも、ラストのフラッシュバック程度で一気に畳み掛ければホラー映画としてかなり揺さぶられる映画へ昇華できてたのでは、と思わなくもない。ジャケ写からすでに心理を逆手に取るミスリードだろう。三者三様に絡み合うシナリオ共々に謎解きのミステリー好きにはお勧めである。
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