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大いなる罪びとのRのレビュー・感想・評価

大いなる罪びと(1949年製作の映画)
4.0
ロバート・シオドマク監督は大好きな監督のひとり。よくぞDVD化してくれました作品。(ジュネス企画さんに感謝)
ヒッチコック、ラングと共に、スリラー映画界を牽引したロバート・シオドマクだが、この映画は「殺しを扱ったスリラー」とは一線を画すものであるが、別の意味でスリリングだった。

この映画が描いているのは「追い詰められた人の怖さ」であり、人を追いつめるのはギャンブル。
ギャンブル依存症になると、自分の少しの金のためなら他人の死を願う…といった怖さ。
そうした怖さを、この映画で上手く演じたのはグレゴリー・ペック。名演。

列車に乗っていた作家の男フェージャ(グレゴリー・ペック)は、列車で相席になった女性ポーリーヌ(エヴァ・ガードナー)に惚れてしまった。ポリーナは列車の中でカード(トランプ)ばかり使っていて、フェージャとは一度も口をきかずじまいだったが、ポリーナが列車を降りた途端、途中下車する作家。
ポリーナを追いかけて行って、再会したのは賭博場だった。ポリーナが列車でトランプばかり触っていたのは賭博の練習だったようである。そして、ポリーナが賭博にのめり込んで止めようとしないのを見ていたフェージャは止めさせようとするが、彼女は賭場はしごする始末。
ポリーナの父親が、賭場の胴元に大金を借金しているギャンブル依存症であり、父娘で賭場に通っている。
そんな父娘をみかねたフェージャは「じゃあ、俺がポリーナの親が借りている大金を返してやって、彼女と結婚したい」という思いに駆られて、その返済のための大金を得るために賭博を始める。…観ていて「なんで借金を返すのに、あなたも賭博始めるの?」と思ってしまう。
すると、フェージャは返済すべき大金よりも多い金を賭博でゲットしたため、賭博の魅力に憑りつかれてギャンブルが止められなくなり……といった展開。

この映画、ドストエフスキーの「賭博者」という作品をヒントに作られた作品らしく、自分の作品の著作権を借金のカタにしたというドストエフスキーのエピソードもあったそうである。そのエピソードは、本作劇中でも使われている。

本作で一番怖かったのは、賭博で一文無しになった作家の元に、賭博で負け続けて拳銃自殺した男が降臨して自殺を勧める場面であろうか…。
この場面は、ヒッチコック『レベッカ』のマンダレー屋敷で自殺を勧める女の怖さに似ている気がした。

やはり、ロバート・シオドマクが監督すると、殺しを扱わなくてもスリリングな映画となる。さすがである。