このレビューはネタバレを含みます
完璧であろうとして崩れていく、そんなヒュー・ジャックマンの演技が印象的。どんなに追い詰められて、取り繕ってきたものが剥がされていっても、教育者としての矜持を捨てられないのが、立派というより逆に哀しい。一方で、人に教えを説くことで優越感を得ようとする、彼のエゴのようにも見える時がある。このように本作はヒュー・ジャックマンを通して人間の様々な面を見せることが、上手くいっていると思う。
ストーリーの作り方も興味深くて、主体となる登場人物が変わると、ジャーナリストが権力者の横暴を暴く記者映画に様変わりするし、家族の幸せを手に入れようと足掻いた女性の物語にもなる。
登場人物の関係、配置、物語構成。どの点からも多角的な目線で見ることを意識させられて、中々癖のある実話映画だった。