シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

木靴の樹のシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

木靴の樹(1978年製作の映画)
3.9
ツタヤDISCAS(郵送レンタル)で、なかなか見つからない名作を借りよう月間(笑)を勝手に実施中で、「いつも2人で」「若者のすべて」「赤ちゃん教育」に続いて四本目。
さて、本作ですが、イタリアの貧しい寒村を舞台に、四世帯同居の集合住宅での貧しい農民たちの悲喜こもごもを描く(出演は本物の農民たち、なので俳優を調べてもこの作品しか出演作がない…)
土地も作物も家畜も樹木も地主のもので、農民に自由になるものは殆どない、というのがポイントです。
三時間にも及ぶ二部構成で、前半は静、後半は動。前半で色々と設定を仕込んで、後半で仕込みが発動します。
金貨を拾ったので隠しておいた(社会主義者の演説の場で、演説そっちのけでコインが気になるという演出が巧みだ。明日の理想より今日の現実か)が、隠し方に凝りすぎて無くしてしまう爺さん(そんな所に隠すから…)や、こっそりトマトを栽培して、生活の足しにしようとする別の爺さんなど、農民の生活に根ざしたリアリズムがありますね。
メインエピソードの、子供が優秀そうなので、無理して学校に通わせたが、子供の木靴が壊れてしまう、さてどうするか、という…ここからの悲劇的展開が何ともやるせないです(同じくイタリア映画の「自転車泥棒」にも通じるものがある)。木靴の樹というタイトルに込められた風刺、社会批判が鋭いです。
先に観ていた私の父親が、場面場面が絵画のような映画だね、と言っていたのも心に残りました。そう言われれば、ミレーの種をまく人、にそっくりな種蒔きシーンがあった。