安堵霊タラコフスキー

木靴の樹の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

木靴の樹(1978年製作の映画)
5.0
先日亡くなったエルマンノ・オルミがパルムドールを受賞した、彼の最高傑作にしてイタリア映画史的にも屈指の名作。

前々世紀的農民家族が作物を耕したり家畜を屠殺したり、殆どただ生活してる姿を映してるだけなのに、その姿はあまりに美しく見え、彼らを眺めているだけで3時間があっという間に過ぎてしまう。

この作品を見てると、生き物がただ生きている様子をひたすら自然に美しく撮っても、極上の映画とは生まれるものだと痛感する。

自然な人間の姿を見事に描いて一大ムーブメントを築いたイタリアンネオレアリズモの、この作品は究極形の一つだろう。

こういう作品にこれまで触れて感動してきたから、自分は物語の為に映像を拵えた映画より見事な描写の連続で構成された映画の方を好むのかもしれない。

しかしこの傑作がアカデミー賞で候補になってたら確実に外国語映画賞は受賞したであろうに、イタリア代表にすら選ばなかった当時の選考者は一体何を考えていたのだろうか。