「こーげ、こーげ、こーげよー、ボート漕げよ~♪ ランランランラン、川下り~~♪」
ドン・シーゲル監督とクリント・イーストウッドの名コンビによる大ヒット刑事ドラマ。主人公のハリー・キャラハン刑事は、まさに新時代の幕開けを告げるヒーローであり、その後のハリウッド製アクション映画に多大な影響を与えたキャラクターである。
わたしゃ銃マニアじゃないが、改めて見ると 44 口径の銃口ってシャレにならない太さやね。
サンフランシスコを舞台に、スコルピオを名乗る殺人鬼と対決するダーティハリー。型破りな一匹狼のハリーも強烈なキャラだが、対峙する悪役スコルピオを演じるアンディ・ロビンソンのキ○ガイぶりが凄い。
ドン・シーゲルの演出もすこぶる快調で、スタジアムでの空撮シーンや、ハリーが橋の上に立つシーン(ほんと何しているんだお前!w)もトンデモナイ映像だが、やはり白眉はスクールバスジャックのシーンの演出だと思う。
凶悪犯に占拠されたバスに、事情を知らずにスコルピオと仲良く歌う子どもたちの一方、犯人に命じられて運転を続けるバスの運転手のおばちゃん。歌声がひびく和気藹々としたバスの車内にたった一人だけ焦燥しきった運転手の顔のアップが映し出されるが、何度観てもこのシーンにはゾクゾクさせられる。
そのシーンに上記の「こーげ、こーげ、こーげよー」の歌が流れる。これは圧倒的に日本語吹替版が秀逸すぎて、耳に歌がこびりついて取れない。
話はそれるが、スコルピオのアドリブ能力って羨ましいと感じる時がある。俺あんな状態で「これからアイスクリーム工場に見学に行くんだよ」なんて言えないもん。
そして、哀愁のあるラストは 70 年代前半のアメリカ映画特有の雰囲気を感じさせる。