YasujiOshiba

ダーティハリーのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

ダーティハリー(1971年製作の映画)
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何回見たか覚えていないけど、何度見てもぞくぞくする。冒頭の軽やかでモダンなドラムのリズムがめちゃくちゃかっこよくて、そういえばラロ・シフリンってこんな感じだよなと再確認。屋上のプールを、べつの屋上からスコープで狙うっていう設定の面白さは、背景に広がるサンフランシスコのパノラマを見せてくれるから、これぞ映画って感じ。

それから街を走っている車が全部グラン・トリノに見えてしまうんだよね。でものちにイーストウッドが『グラン・トリノ』で扱うのはたしか1972年式で、この映画は1971年の作品だから、すこしずれている。とはいえ、クラッシックカーがモダンだった時代なわけだ。

それからフットボールのスタジアムのシーンね。あそこでハリー・キャラハンは権利の読み上げ(ミランダ警告)をすることなくスコルピオを逮捕してしまうシーンの映像。今ならドローンで楽に撮れるところを、ヘリコプターの空撮にしたのだろうけれど、ハリーとスコルピオの二人を残して緑のスタジアムを遠ざかり闇を映し出すカメラに、あ、ここって、こんなにかっこよかったんだと驚いた。

それからスクールバスのハイジャックね。黄色のバスが金門橋(ゴールデン・ゲート・ブリッジ)を通るところでは、ハリウッドのスーパーヒーローものが、ここにクライマックスを持ってくることになるんだよな、フィルムメーカーたちはきっとこのシーンを見たんだろうな、なんて思っちまいました。

それから、今回初めて知ったんだけど、この映画の背景には、未解決事件のゾディアック事件というのがあったんだね。1968年に始まり1969年に多発した連続殺人事件なのだけど、この映画が出た1971年以降にも、殺人予告の手紙が届いたりしたんだってね。

まあ最初の劇場型犯罪として有名なのだけど、この事件に取材した映画はいくつかある。有名なのはデビッド・フィンチャーの『ゾディアック』(2007)で、ぼくはこれ未見なんだよね。見たくなってきた。
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