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カモン カモンのemuのネタバレレビュー・内容・結末

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

マイク・ミルズが人と世界を見る眼差し、そのなかで漂う空気感が大好きだ。モノクロームの優しい映像のなかで、カラフルな感情が湧き立っては弾けて、影を落としていく。ジェシーが語っていた支え合う木の話、2人が並んで歩く公園の大木。前作I am easy to findのショートフィルムを思い出した。

子供たちが語る未来の話、家族という人間関係。他人のことも自分のこともよくわからないし、予想外のことにぶつかると傷ついたり傷つけられたりする。人は100%お互いを分かり合えることなんて出来ないし、たぶん人は一生孤独だ。けれど誰かと場所や時間を共有すること、自分の感情をぶつけること、相手の感情を受け止めること、静かにそっと寄り添うこと、どれも誰にでも出来る事じゃない。だからこそそんな風に関わり合えることは何にも変え難い大切なものなのだと思う。世界が続く限り、この先の未来が少しずつ明るくなるような、子供たちの意思と希望の声にも何度も救われた。
イライラした時は大きなステーキを食べる、忙しくてもお風呂に入る、人に教えることや物を作ることが大好きな所…音楽に身を任せて踊るヴィヴとても好きだ。ジョニーが読み聞かせていた星の子供の一節に思わず泣いてしまったし、彼が読んでいた本がどれも興味深くて全部読んでみたくなった。作中に出てきた言葉たち、the nationalのデスナー兄弟が手がけた音楽も心地よくて。どれも自分のなかにずっとしまっておきたい大切なもので溢れていた。近いうちにまた観に行きます。大好き。
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