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カモン カモンのKKMXのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
3.8
 A24は嫌いですが、マイク・ミルズ作品だけは例外なので鑑賞しました。めちゃくちゃ誠実なガーエーですが、個人的には特に引っかかるところがなく、まおもで終わった感じです。ただ、そこまで楽しめなかったながらも、素晴らしい映画だとは思っています。なので⭐️も少しマシマシです。

 独身暮らしのジョニーのところに甥っ子・ジェシーがやってきます。ジェシーの父が精神疾患になり、母親が父親の世話をしなければならなくなったためです。そしてジョニーは少しこまっしゃくれた男児ジェシーの世話をしていく…というお話。


 本作では、子どもの生態のリアルと多くの大人が有している子どもをナメている感じがキッチリと描かれていたように感じました。ジョニーはそこまでナメてるタイプではないですが、子どもの前では誤魔化しは通用せず、押し付けたりせずに対話をする事で関係が深まることに気づいていくプロセスは非常に誠実だと思いました。
 そもそも子どもは単独で生存することが難しいため、大人の養育に頼らざるを得ない面があります。生き残るために、対象となる大人がちゃんと自分を庇護する力があるか否かを見抜く能力が備わっていると考えられます。誤魔化したりウソついたり、過剰にコントロールする大人は、子どもにとって適切な養育をしない存在(つまり自力で生存する能力を育成する能力に欠ける存在)と判断される可能性が高いでしょう。

 本編でも、ジョニーがジェシーをコントロールしようとしたり、ちゃんと対応しない場面では、きっちりとカウンターパンチを食らってます。大人になると相手がコンプレックスに振り回されたり、利害が絡んで交渉に近くなる場合が多くなるため、対話して分かり合える可能性が低くなり、つい誤魔化しやコントロールといった不適切なコミュニケーションが増えてきますが、子どもはむしろガチなコミュニケーションで関係が深まりやすい存在であることを全大人は理解すべきだと思います。
 で、本作はそんなことをほぼ全編に渡って描いていたと思います。
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