Nagisa

カモン カモンのNagisaのレビュー・感想・評価

カモン カモン(2021年製作の映画)
4.5

子どもって大人が思っている以上にいろんな感情や思いを抱えてる。
しっかりと考えを持っていて、選択する権利がある。
ジェシーが不器用ながらに不安定な気持ちを、態度や言葉にしていて、小さい身体の中にいろんな気持ちを抱えてる様子に何度も涙が出た。
ていうか演技うますぎる。

そしてそんなジェシーに振り回され、
間違った時はきちんと、やっぱり不器用ながらに謝るホアキン演じるジョニーが良かった。後から公式サイトを見たけど、
ジョーカーとは違って自身に近いキャラクターの感情表現を、あんな繊細に上手に演じられるホアキン、やっぱりすごい。

子ども達のインタビューが良かった。
さすが、向こうの国はスピーチの授業があるんですっけ。
大人顔負けの、きちんと自分の意見を持っていて、大人の方が学ばされそうな、そんな答えばかりだった。
特に個人的に印象的だったのは、母親に「みっともないから泣くな」と言われる男の子の気持ち。
そうだよなぁ、なんで大人って誰でも分かるような事を時に忘れてしまうんだろうなぁ。
大切な事を子どもの方が知ってる、そんな気さえした。

かといって取り囲む大人も、ジェシーの事を理解しようと努力していて、心があったかくなった。

ジェシーにとってジョニーと過ごした日々をいつまでも忘れないでほしい。
でも、全てを覚えておくなんて不可能。
きっと、私にも小さい頃忘れたく無いと願うほど、人との繋がりに愛しさとか嬉しさを覚えた出来事はあったんだろうな。
きっと、忘れては無いけど、思い出せない。
でもそうやって人格は形成されていく。
ジョニーと過ごしたことで、ジェシーの未来が良いものになればと思う。

そしてこの作品を観た大人は、ジョニーのようにどんな相手にだって真摯に向き合い、
相手を尊重する義務があるなと思った。


美しいモノクロの映像で綴られる街や景色、人々。
だけどエンドロールで一瞬水色のカットと、
「デハンテに捧げる」といった旨の文章が入る。
インタビューに答えていた少年の1人で、
制作後、街で流れ弾に当たって命を落としたとの事。
改めて、子ども達が安心して素敵な未来を想像できる世界にしてあげたいと思いました。

あと「星の子供」は買おうと思いました。
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