2021年5月をもって閉館を迎えるアップリンク渋谷での鑑賞。
ショーパブで働くトランスジェンダーのナギサ(草彅剛)が、母親からネグレクトを受けるイチカを引き取ることになる。
ナギサは一人の女性として、母親としてイチカを育てることになるが、社会や周囲の壁に苦悩していく。
力強く生きていくナギサやイチカの姿に心を打たれ、涙なしでは観られない。
トランスジェンダーやネグレクト、生と死がつきまとう重苦しいテーマな上、生々しく描かれる本作だが、予想外な展開があったりと全く飽きがこない。
観賞後は満足感を味わえる作品。
普段当たり前に思っていたことが、実はとても幸せなことだという事実に気づかせてくれる本作が、日本アカデミー賞を受賞しているのは当然のことと感じた。
本作の主人公はトランスジェンダーであり、社会によって明確に切り分けられた男と女の間で揺れる役回り。
草彅剛は男性でありながら、女性の心を持つ役、また子供を育てる母親役を演じた訳だが、その演技は完璧のように見えた。
どう生きてきたらこんな役ができるだろうと感心した。
また、余談だが、SMAP解散以降の苦悩だったりそういった鬱積した気持ちが、日本アカデミー賞主演男優賞受賞の瞬間込み上げたのではないかと思うと、草彅剛にとっての再スタートとして応援したいと感じる本作だった。
なお、元々草彅ファンではありません。
イチカ役の女優さんも新人ということだが、バレーも上手くて今後に期待大。
脇を固める俳優陣も上手かったなー
本作はとにかくおすすめ!
アップリンクでは2度目の鑑賞。
閉館ということで、最後にいけてよかった。お疲れ様でした。