わたぼう

Liberté(原題)のわたぼうのレビュー・感想・評価

Liberté(原題)(2019年製作の映画)
4.2
アンスティチュ・フランセ映画批評月間にて。

カンヌ映画祭ある視点部門審査員賞受賞の今作。

去年の夏パリの駅でやたらポスターを見かけて気になってた映画『リベルテ』が映画批評月間で上映してたので、観ることができた。覚えてた自分にとても感心。かなりの変態映画だったんだけど、これが駅にたくさん貼ってあるフランス恐ろしいな…

中世の貴族たちが自由精神の名の下に、性別、慣習に囚われず、夜の森で性行為を行う。監督いわく「夜の映画」だそうだ。

森が暗いため肝心の部分は見えなかったり、カメラワークが斬新で、何をやってるかは正確には把握できない。男性器を「愛撫してくれ」というオーダーが(♂×♀だったり、♂×♂だったりで)多いがポルノ的・即物的な動きは全く?ない。さわさわしてるだけの遠景だったり、馬車のような籠ごしに部分的に見える。でも「見えてない」。

この「見えてない」が相当にエロティック。「見えてない」んだけど「見えている」。たとえば暗い森の中で、ドレスを捲り上げた女性のお尻に鞭を打つんだけど、決して寄りがメインの映像にはならない。暗い遠景の森の中、白いお尻に「見えていない」鞭の傷痕の赤が「見えてくる」。

裸の女性に白い色水(牛乳?)をかけて、水色?のペンキ缶に突っ込んだ男性器、しかも本物でなくハリボテ?で、女性の背中にペイントでもするのかなとこすりつけるが、その水色は移らない。こすりつけてもいないし、何やってるかわかんないんだけど、興奮した。

中世のドレスを着飾った女性たちの胸もそれほど露わにはならず、半乳首なのか1/4乳首なのか、余計にエロい。

そして神々しい夜明けがやってくる。

監督は演技経験を積んだ俳優を使うのが嫌いらしく、Facebookなどでキャストを見つけてきたそうだ。またキャストに細かい演出もしておらず、撮影のフレーミングの指示もしてないそう。カメラマンは若手の人らしい。3台のカメラで100時間くらい撮った森の中の映像を2時間強に編集して仕上げたそうだ。

インスタレーションビデオのようなアート作品も作ったりしてるようで、今後も斬新な映画が楽しみ。
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