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ファーストラヴのautumnのレビュー・感想・評価

ファーストラヴ(2021年製作の映画)
3.7
〝初恋″
一生のうちどれだけ恋愛を重ねてもきっと一番記憶に残るもの。生活しててふと思い出してしまう思い出。
環菜にとってその〝初恋″は綺麗な思い出だったんだろうか。綺麗なものに書き換えて、いい思い出にしたかったのかもしれない。
唯一最初に救ってくれた〝大人″だったから。

父親と男性って私はどこか違う気がしていて。それはきっと親子っていう繋がりがあるからだと思う。環菜と父親にはその繋がりがなくて。それも原因だったのかなとも思う。

子どもは大人に守られて育つもの。
それが普通だと思ってた。大人になって『あぁ、大人に自分は守られていたんだ』と気づいて自分が大人になった時、子どもを守ることで繰り返されていくものだと。
環菜にとって自分を守るものは自分の〝血″だけだったと法廷で証言したとき、そんな風に思わせ、それを見て見ぬふりをして助けられなかった大人が怖いと思った。
でも大人も所詮は1人の人間であって自分の安全が一番大切。
私も実際にそういう現場に居合わせた時、確実に手を差し伸べられれるかと言われると、即答はできない。
こうやってDVやネグレクト、小児犯罪ってなくなることはないんだろうなって思った。

ゆきもまた自分の過去と戦ってて、彼女の場合、自分がされた訳ではないけど、自分の父親が普通ではないと知った時、どんな気持ちになったか想像ができない。万が一自分の父親がと思うと想像もしたくないような気持ちになる。
でもだからこそ心理士になったんだろうなと。
きっとこういう気持ちは当事者じゃないときっと分かり得ない。
ゆきには我聞さんっていう心の支えがあった。でも大切であれば大切である程自分の綺麗でない部分は隠したくなるものだと思う。
最後打ち明けられてよかった。
そして我聞さんも気付いててあえて聞かないで待ってるって姿勢が素敵だった。

芳根京子さんの怪演技は圧倒的だったし、北川景子さんの辛くてなんとも言い表せない演技も圧巻だった。
映画を観た後、決していい気分にはならないし、沈むけど、みんなが見るべき、考えるべき映画だと思う。
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