女子大生が父親を刺殺する事件が発生。
犯人の女性は動機に対し「動機はそちらで見つけてください」と証言。
心理カウンセラーの由紀と担当弁護士の迦葉は事件の真相に迫る為、彼女の過去を調べ始めるが…というお話。
予告を観た時はサイコパス系のサスペンスという印象が強かったのですが、実際の本編はむしろヒューマンドラマで意外でした。
だけど、それもこの作品の一つの仕掛けなのかなと。
世間で起きた事件は何かとセンセーショナルなエンタメに加工されがち。
ワイドショーではいかにもな音楽と共にミステリーやサスペンスのように伝えられます。
それはまるで本作の予告の前半のように。
だけど、世の中で起きるすべての事にはそんなエンタメでは片付けられない“人の心”があるのだと思います。
幼少期の体験からトラウマを抱えていた環奈。
助けてくれるはずの大人に追い詰められ、助けてくれるはずの大人に手を掴んでもらえかった彼女。
でもこの作品に登場する人物の殆どが絶対的な悪ではありません。
悪気は無かった事、見過ごした事、自分を優先した事。
そうした行いが相手に届いた時にそれが人を傷つけるって事は往々にしてある事です。
だから人間関係っていうのはとても複雑で難しいです。
でもそうして傷ついた人を救えるのもまた人間。
相手の事をちゃんとみて、相手と真剣に向き合い、初めてお互いの心に自分の心が届いた、その時の事をこの作品は“ファーストラヴ”と呼んでいるのだと感じました。
