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由宇子の天秤のkissenger800のレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
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とりあえず「これが韓国映画だったら」って襲い来る雑念を振り払いながらの2時間半だったので参考までに申し上げるんですが、韓国舞台なら2時間までは圧縮可能な気はしました。
乱暴な展開でも異国の物語なら「そういうこともあるのか」って納得できたりするじゃないですか。あと韓国映画ならここで左から車がギューンって入ってバーン。髪洗ってない臭いチェ・ミンシクが来る! とか俺の連想が乱暴なだけなんだが。

それはそうと、重要な登場人物の、とある件についての説明がこれでもまだ何かを端折ってるよね。
この人の・この行動には・この筋道があった。
そうか・それなら仕方がない。
って丁寧な説明を俺たち観客は求めるし、クリエイターもその呼吸を分かっていることが、ほかならぬ作品のそこまでの「運び」を通して実証されている。
ところが当該人物の描写または背景説明が性急で、あれ? これもしかして3時間あったのを削って2時間半にしました? って感想に。
もちろんケチをつけているということではなく、ディレクターズカット版をお待ちしてます。ぐらいの意味ですけど。
いつも2時間におさめろ、2時間で語れるだろうが。って文句を言う客の口で「2時間半? いやーまだ見ていたかったっす」。

ちなみに主題については大人なら多かれ少なかれ経験あることで、いや俺もさあ。って見たひと全員が語れる何かを持ってると思ったし、少なくとも俺は語れる。

おまけ(元業界関係者によるテレビ局まめ知識)
・「テレビ局のえらいひと」として出ているのはおそらく制作局のプロデューサー(若いほう)と総務の法務担当(イヤな奴のほう)
・彼らのセリフ「報道がうるさいぞ」が意味するのは、報道局枠ではなく制作局特番として放送する予定の番組ってことではないか
・局Pがあの年齢ならチーフプロデューサーはまだ上にいるし、報道と制作の仲が悪いのは世界の放送局あるある
・編成に見せてしまったせいで云々、というセリフがあった通りオンエアを決める権限は作品に出てこない編成局が握っていて、つまり放送局には放送局のピラミッドがあるんですがその全部を描く時間はありません
・なお、制作会社は制作局からの発注で動く下請けなのでピラミッドの下層ですが主人公は制作会社の従業員ですらなく、あくまでもフリーランスのディレクターなので、そういう意味ではピラミッドの「外」に居るのです
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