天津甘栗

由宇子の天秤の天津甘栗のネタバレレビュー・内容・結末

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

人は見たいものしか見ない。見せたいものしか見せない。故にフラットな報道など無い。
知ってはいたけど再認識。報道の舞台裏をまざまざと見せつける作品。

瀧内公美さん初めて拝見しました。非常に良かった!特に少し低めの落ち着いた声が良いですね。とても聞き心地が良い。
そんなゆっこは天使か悪魔か、フラつく天秤。
男勝りで妥協を許さない仕事モード、他者に寄り添い包み込む慈愛モード、建前のウラに愚かしい本音を携えた偽善モード。すっと静かに変わる表情や声のトーンで天秤はゆらゆらゆらゆら揺らめきまくり。

観賞後暫くして正しく真実(メイがウリをしてたか否か)を知りたいのなら、ゲスの極み光石研へ今一度細部を問いただせよと思っちゃった。合体に「どちらともなく」なんぞあり得ない。ジャーナリストのくせに身内に対しては詰めが甘い。コンデンスミルクばりに甘ったるいと。

でもふと、これこそ安全圏にいる第三者的正論の振り翳しと気付いた。ウリの有無は焦点じゃない。
あなた(私)が思うその正義の矛先は、己れに突き付けられますか?ゆっこと同じ立場に立ったとしたら、身内や自分自身を詰めれますか?またそれを「正しい」事と位置付けますか?瀬戸際で自分を優先して避けたり逃げたりする選択をズルいと言えますか?他者をズルいと断罪できる程あなたは正しいのですか?というどぎつい投げかけかと。

結末で己れに対して誠実に矛を突き付けたゆっこは、その後親にも生徒にも同僚にもこれまで以上に強く正義の矛を突き付けていくのかも知れない。
そしてそれは誰も望まない最も苦しい世界なのかも知れない…
天津甘栗

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