贖罪の「正論」と日常を守る「最善」。
由宇子が選んだ「最善」が次第に自分の首を絞めていく様子と心理の運びがすごい自然で、加害者側の心理に入り込みやすい作品だった。
恐らく「最善」は、矢野志帆の告白を聞く前と後や、加害者側とメディア側では最善の選択も変わってしまうように、立場や状況に左右される不安定なものなのだと思う。
だから打ち明けたり、罪を償うっていう「正論」を選ぶのは、その選択から解放されるから。
さて、それなら「正論」にたどり着くことで一体誰が得をしたのか。最善が苦しい道のりだってことを示しつつも、正論を選んだことでどうなるかなんてもう描いてはくれない。
Amazonではジャンルがホラーに指定されてたけどそれも納得してしまった。
ラストカットはやっぱりそれだよねっていう感じ。