Solaris8

ぶあいそうな手紙のSolaris8のレビュー・感想・評価

ぶあいそうな手紙(2019年製作の映画)
4.3
9/19 香林坊東急の金沢シネモンドで、「ぶあいそうな手紙」を見た。ウルグアイに近いブラジルのポルトアレグレに住む年金暮らしの老人が、短髪のボーイッシュな若い娘と出会う。

老人はウルグアイのモンテビデオ出身で軍事政変等が理由なのかポルトアレグレに移住したが、年老いて眼が悪くなり、ウルグアイの元恋人から手紙が来るようになる。元恋人との手紙のやり取りにスペイン語の代読代筆が出来る短髪の若い娘と仲良くなり、周囲は素性が分からない若い娘との交流を心配する。

老人は年老いて気難しいが、元々は本が好きなインテリで、その女性に連れられてスラム街にしか居場所が無い様な若い詩人達を紹介されたり、交流の中で女性の賢さに興味を示す様になる。

親しくなるに連れて素性が不明な女性の貧しくて卑しい本性が現わになるが、主人公も女性の孤独な素顔を受け入れて許し、その女性が与えてくれた新しい風を探す旅に出る。

ブエノスアイレスは「良い風」の様な意味らしいが、ブラジルのポルトアレグレの住居で旧友とブエノスアイレスでまた会おうと別離し、その思いが元恋人とモンテビデオで再会して結実する。昔、南米に向かったスペインやポルトガルの移民達が船で「良い風」を目指して新天地を探す様な、そんな映画だった。サンバの出てこない南部ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイ等のラプラタ川流域の国々の関係性が理解出来て、母を訪ねて三千里の様な移民の国である事を想い出させてくれた映画だった。
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