TaiRa

藁にもすがる獣たちのTaiRaのレビュー・感想・評価

藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)
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90年代に散々作られたやつ。一定の面白さは確約されてるけど、凄い面白い訳でもないっていう。

金の必要な男が大金の入ったバッグを拾ってしまう話、借金返済に苦しむ男が金策に駆けずり回る話、ある事情で金が手に入る女の話など、金にまつわるエピソードが並行して描かれる。映画の中盤で物語の仕掛けが明かされるが、それは普通に観てれば早い段階で分かったりする。90年代タランティーノというより、そのフォロワーの志し低いやつに近いテイスト。良く言えば初期ガイ・リッチーとかかな。ただ、役者陣が豪華なので安っぽさはない。チョン・ウソンの軽薄な感じとか、ペ・ソンウの庶民的な佇まいとか、チョン・ドヨンの凶悪な感じとか良かった。散々擦られて来た題材だけど一応飽きずに観ていられる。原作は日本の小説なので、日本で映画化しても良さそうだが、多分韓国でやった方が全然良い。バイオレンスのポップ化とか上手いし。監督はこれがデビュー作なので、まだ緩いとこもあるけど出来としては充分でしょ。韓国ならではの脚色も良い具合に入れてる。ある破局を前に発せられる「戦時中は毎日こうだった。生きてりゃ何とかなる」という言葉は、題材の軽さに反して重い言葉だった。オチでキレイに一周するのも観賞後感の良さに繋がってる。
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