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エルヴィスのmaroのレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
4.0
2022年日本公開映画で面白かった順位:11/101
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★

究極のロックンロールを目の当たりにした。
世代ではまったくないし、知っている曲も少ないけれど、十分に楽しめた。

この映画は大きく前半と後半に分かれるかな。
前半は、エルヴィス(オースティン・バトラー)がパーカー大佐(トム・ハンクス)と出会い、徴兵されるまでの話。
後半は、人気に陰りが見えてきたところからの復活劇と、パーカー大佐との方向性の違いが浮き彫りになっていく話。
2時間半という限られた尺で、エルヴィスの生き様をうまく描き切っていたと思う。
ただ、前半はややめまぐるしい展開で、個人的には少しせわしない印象があった。

この映画で一番面白いのは、何と言ってもエルヴィスの圧倒的なパフォーマンス。
エルヴィスを演じたオースティン・バトラーは見た目だけでなく、歌声も本人に寄せてきてて、その徹底した役作りが凄まじい。

さらに、女性からの人気がとてつもなかったことがよくわかる。
エルヴィスはヒップを揺らして歌う独特の歌唱スタイルだったんだけど、それを見て女性客は"感じ"ちゃってて(笑)
あまりにも気分が高揚しすぎて、下着を投げちゃうほどの異常事態(笑)
エキストラなのに恍惚の表情をするのがみんなうまいのも、細かいところまでキャスティングに力を入れているなって思った。

その中で、個人的にはラストが一番好きだったなあ。
誰もが聴いたことある有名な曲をね、満身創痍になりながらもあの美声で歌い上げるってんで、思わず涙が出たよ。。。

あと、映画を観てて思ったんだけど、エルヴィス・プレスリーが生きた時代ってけっこう激動なんだよ。
キング牧師やケネディ元大統領の暗殺に、シャロン・テートの殺害。
そして、ジェームズ・ディーンとの関わりやビートルズの台頭、さらにはジャクソン5の名前までも。
政治やエンタメの分野で大きな動きがあったまさにそのときを生きていたってのがなんかすごいなって。

結局、エルヴィスは42歳という若さでこの世を去ってしまう。
映画では死因をはっきり明言していなかったけど、実際は処方薬の極端な誤用による不整脈というのが公表された内容。
これね、過密スケジュールの疲れを取るために薬を飲みまくってたっていう事実はあるんだよ。
じゃあその過密スケジュールにしたのは誰かと言ったら、パーカー大佐。
彼は本当にがめつくて、最終的にエルヴィスの売上の50%をもらってたらしく、それが公になったのはエルヴィスの死後。
エルヴィスを殺したのは誰なのかといったら、パーカー大佐が一番の原因と考えてもおかしくはない。
とはいえ、エルヴィスがここまで有名になれたのはパーカー大佐のおかげだし、嫌々歌ってたわけでもないからね、すべて彼のせいとも言い切れないけど。

そんなわけで、煌びやかなショービズ界の光景と、遺伝子レベルでヤバいと思わせる圧倒的な歌唱力もあって、とても楽しめる映画。
これはぜひ映画館で観て欲しい。
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