いち麦

エルヴィスのいち麦のレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
5.0
白人男性でありながら人種差別と性差別の入り混じった奇異な処遇を受けた駆け出しの頃。彼が披露するパフォーマンスと不屈の精神のルーツの一端がアフリカ系音楽とその信奉者たちであったことが良く分かった。そんな彼を見世物芸の如く発掘しプロデュースしていくパーカー大佐の悪どい手腕と如何わしい出自。明確には示されないが彼の空白だった経歴は容易に想像がつく。ショービジネスで大成功を収めた2人が主従・拘束を思わせる一方的な見た目の関係とは裏腹に、互いに共依存へと陥り夫々に破滅していく過程も圧巻だった。幻惑感溢れる映像演出も見応えあったが、彼のヒット曲を巧みに翻案し取り込んだ劇伴は特に見事でついついアレンジにも聴き入ってしまった。スタッフロールが味わいよく美しく見やすかったのも好感。
いち麦

いち麦