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エルヴィスの06のレビュー・感想・評価

エルヴィス(2022年製作の映画)
4.2
エルヴィスの事を1ミリも知らずに鑑賞。
──圧倒的!!!

面白いとか通り越してただただ凄い。
ボヘミアン・ラプソディもそうだが、一時代を築いたロックスターの生涯を、ハリウッドがこの時代映画にするという事は、世界に「彼の人生はこうだった」という公式解釈を広める事だと思っている。
それを、見事にやりとげた。

映画のスタートは、
「──エルヴィスの死の理由はなんだったのか?」
から始まる。

その答えを探しながら、エルヴィスのマネージャーであるパーカー大佐の回想という形で物語が進む。

彼がその時代にどんな影響を与えたのか。何故ヒットしたのか。そしてどんな人間だったのか。

音楽に愛された繊細な青年と、商売が上手い詐欺師の物語だった。青年が自分を取り戻そうと藻掻く話でもあり、でも結局彼を苦しめた詐欺師こそが、エルヴィスの成功を作り上げたという話でもあった。

エルヴィスは何故死んだのか。本人の苦しみ、マネージャーとの取引、家族との関係、取り巻き達の散財、多面的にあったであろう理由に、この映画はひとつの結論を出している。──それがすごい。
補足されるテロップもずるい。

エルヴィスの人生を通して、シームレスにアメリカの一時代を駆け抜けた感があった。

エンドロールが終わった後に聞こえるエルヴィスの声に、つい拍手を送りたくなる。
エルヴィスというロックスターを一生涯忘れられなくなる、そんな映画だった。
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