エルヴィス・プレスリーという名前は知っているし、劇中でも2曲ぐらい聞いたことのある曲はあったけれど、映像で動くエルヴィス・プレスリーを観たことはなかったかもしれないな、とふと思った。
『奇妙な果実』でFBIに目をつけられたビリー・ホリデイ、“独特な腰の動き”とブラックミュージックで警察の監視下に置かれたエルヴィス。エルヴィスもまた、公民権運動に反対する者の強い敵視にあっていたと知り、驚いた。熱狂も扇動も警察の敵。スーパースターの社会的影響度の強さを、警察が証明しているなと思った。
悪名高い強欲マネージャー、天性の詐欺師。そんな言われ方をしたトム・パーカー大佐を、マネージャーとしていたエルヴィス。「あなたは僕の父代わりだ」大佐へ信頼を寄せていたエルヴィスを、大佐はエルヴィスを見付けた時から、金の卵を産む鵞鳥としてしかみていなかったんだろうなと思った。
この映画、エルヴィス視点ではなく、トム・パーカー大佐を語り手として進んでいくから、エルヴィスが知らなかった、大佐が裏でしていた金銭的搾取も描かれていて、その酷さにもっと早く決別出来ていたなら、と思わずにいられなかった。
エルヴィス・プレスリーの半生に大きく関わっていたトム・パーカー大佐。大佐がもたらしたエルヴィスの光と影を知れる映画だった。
#81_2022
