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tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!のbibooのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

ミュージカルに疎く、本作の主人公であり実在したジョナサン・ラーソンという人を知らずに前情報もゼロで見たため、プロデューサーだったり業界人とのやりとりがイマイチ何のことなのかなんとなくでしか掴みきれなかったのと、ストーリー自体は恋と夢の間で揺れる主人公と周りのアイデンティティの話という、どこかで見たことあるような展開だったため、あんまり集中して見れなかった。演出に既視感というか同じバイブス感じるなと思っていたら「インザハイツ」のリン=マニュエル・ミランダが監督であった。彼が監督してるだけあってミュージカルシーンの迫力はとても良い。あとヒップホップ曲シーンのディレクションがやっぱり上手くて良い。

30歳の直前って、周りと自分と現実の間でせめぎ合いながら揺れる年代なので、ジョナサンの感じすごいわかるわ〜と思いながら見てた。やりたいことや目標に向かってる途中って、確信なんか一つもないけど、とにかく”何か”を信じて進むんだというその気持ちだけな感じとかもわかる。
ただ亡くなるのが早すぎた。

2022/05/28
「RENT」の映画版と本国キャストでのミュージカル版を観劇した上で再鑑賞。
彼が手がけた作品を見て功績を知って見ると180度感じ方が違う。ほぼ一人芝居で自分のパーソナルをこれまでドラマチックに色んなバリエーションの歌で作り上げたのは素晴らしい。
作品のテーマをファンタジーではなくて彼の身の回りのことを物語にしたことで風向きが変わるが、下積み時代が長かったからこそ街場のリアルな声にダイレクトに取り巻かれていたんだなと思うし、「RENT」がいかにジャーナリスティックで革命だったか、その時代に必要なものだったかというのがわかる。あと生バンドを入れ込んだ舞台という発想も当時は特に素晴らしかったんだろうな。HIPHOP調の曲以外にも歌詞が韻踏んでたりリフレインする部分も多く、耳触り良くてキャッチーで、ジョナサンラーソンの作詞能力というところも実感できた。

リンマニュエルミランダは映画というキャンバスでミュージカルを描くのが心底上手で、振り付けが素晴らしいから、脈略のつながり方が自然な上にダイナミック。最初から最後までテンションを保ったまま見やすい。エンディングの締まり方もめちゃくちゃ美しい。

アンドリューガーフィードの表現と演技の幅は色んな人に衝撃を与えたんじゃないかなと思う。ここまで、こんなに、できる人だったんだ?!と再評価に繋がったと思うから、活動休止が本当に心から悔やまれる。

ー”なぜ大惨事が起きないと革命は起きないのか
カゴか翼かどちらがいい?答えは鳥に聞け
恐怖か愛か答えは言うな 言葉より行動がものを言う”
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