このレビューはネタバレを含みます
何年も待ち続けた甲斐があった。
元々の原作が最高な上に、大好きな沖田修一監督が撮るというだけでかなり期待感が高く観る前からハードルが上がっていたが、余裕で越えていく名作だった。
前半は割と原作に沿って話が進んでいき、ワクワクする出会いやこの先の物語への期待感に溢れていたのだが、後半はガラッと変わり、沖田監督らしい長回し多めで、父親と娘の夏休みといった感じになっていた。
長回しの中で台詞が少ないのにもかかわらず、納得というか、見入ってしまうのは、役者の力もあるが、沖田監督がそのシチュエーションに合った空気感を作り出すのがとても上手だからだと思う。
原作から切り取る部分も納得だったし、逆に、原作から描き足した部分も自然だった。例えば、千葉雄大演じる探偵の推理要素を減らす事で話の軸がブレないようにしたり、また、父と娘のシーンを増やす事で、メインテーマをより明確にするなど、取捨選択が上手だった。
主演の上白石萌歌と細田佳央太が出会うシーンや、恋に落ちるシーンや、ラストシーンは本当にときめきやワクワクが止まらなかった。
この二人だから観ることが出来た、本当に魅力的な映画に仕上がっていた。