こたつむり

アダムス・ファミリーのこたつむりのレビュー・感想・評価

アダムス・ファミリー(1991年製作の映画)
3.2
町はずれに住む、ちょっと不思議な家族の物語。

「小学年女子向け」という印象が強い作品でした。
家族の立ち位置から考えて、長女である《ウェンズデー》に共感できるかどうか…がポイントなのでしょうね。だから、本作でクリスティーナ・リッチが注目を浴びた…というのも理解できる話です。

また、世界観は“ちょっとだけ”オカルティズム。
この一風変わった雰囲気が子供たちの自尊心を満たしてくれるのですね。男の子で言えば、ヒーローものと同じ。「自分は他人と少し違う」という側面を肯定することは重要なのです(とは言え、最近のヒーロー映画は違う方向性ですけど)。

そして、この「ちょっとだけ」という分量が。
とても重要なのです。何しろ、彼女たちは“ガチで恐怖のどん底に落としてくる”ような作風は求めていませんからね。アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』第二期のような毒素は、子供にとってトラウマを残すだけなのです。

だから、家族の形も。
アメリカの理想的な家族像を踏まえていました。

オシャレで落ち着いたお父さん。
スマートでしっかり者のお母さん。
下僕と化す弟(世の弟たちよ!立ち上がれ!)。そして、執事がいるから家事手伝いからは解放されますし、隠し通路などがあるから適度に冒険心も満たしてくれます。確かに子供にとっての理想郷ですね。

そんな作品に対して。
大人目線で「物語的な部分がちょっと物足りないなあ。《おじさん》の心の動きをもっと描写してもらいたいなあ」なんて思うのは…違うのでしょう。確かに子供向けで考えるならば、学芸会で“血しぶきブシャーッ”くらいで止めていた方が無難。家族映画でトラウマを残すわけにはいかないのです。

まあ、そんなわけで。
小学生女子向きの作品…だと書きましたが、世界観や登場人物の雰囲気が好きならば誰でも楽しめると思います。

ちなみに漠然と連想したのは《モケケ》や『エミリー・ザ・ストレンジ』。ああいう造形が好きな人は、本作も好きなような気がしますね。確証はありませんけど。
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