夜空のパンケーキ

永遠が通り過ぎていくの夜空のパンケーキのレビュー・感想・評価

永遠が通り過ぎていく(2022年製作の映画)
3.8
AV女優で文筆家の戸田真琴さんの初監督作。
戸田さんの舞台挨拶付きで鑑賞。

感想を書くまで2日かかってしまった…それは観終わったあとにすぐ言葉にできなかったこと。
監督が「念を込めた」というパンフレットを読んでからと思ったこと。
そしてなにより、この二日間は頭の中で作品の映像がぐるぐる投影されていたから。

この作品は戸田さん以外には理解できないと思う。なぜなら僕は戸田さんではないし、舞台挨拶でも「みなさんの中に入ったそこから見える景色も味わえないし、私の見ている世界も見せてあげられない」と話していました。
ただ戸田さんが見てきた世界を感じることはできる。それがこの作品の残す意味だと思うから。

少し斜め上をズレと感じるかどうか?
そこから見る世界だからこそ本当の一致と感じることもある。
そこも含めて感じることを大切にしたいと思う作品でした。
光の使い方やザラザラした粒子の雰囲気が昔の台湾映画のようであり、『ノルウェイの森』のような台詞の紡ぎ方だと感じた。
出演者も多くはないが、一人一人が抱える重圧は凄かったと思うし、演技に反映されていたと思います。
一番印象に残っているのは、『M』の中で車に乗っている五味未知子さんの笑顔。

編集も戸田真琴さんが全てされているということで、動画と静止画の繋がりが良かった。
最近辛いことが多すぎたから、この作品から出る閉塞感にもう少しだけ生きてみようと思った。