短編3作のオムニバス(+2箇所にブリッジムービーが入る)という全体構成なのですが、その3つの短編は、明確に演者やシチュエーションは異なっているものの、根本的なテーマと・そして表現の部分のコンセプト自体はハッキリ共通している様に思えました⇒即ち、3作どれもが映像と音楽と「詩情」で構成されている、という。正直、ソコに「ロジック」の方はあんまし無さそう…てコトもまた共通事項にはなってるので、全編どーしたって「Don't Think, Feel」みたいなヤツになってるって感覚もまま高度ではありますが、短編の、かつオムニバスという意味ではある種ワリとオーソドックスな方の質感と言えるかとも思いますし、その意味では(だからむしろ)決して成立してないなんてコトも無かったとは思うのですよね。個人的にはかなり興味深く観れた・好きな方の短編作品でした。
端的には、徹頭徹尾非常にポエミーと言うか、そーするとやっぱ理屈で共感してゆける様なモンでもないか…とは思ってしまうってのはあります、がこれも個人的にはその辺の「センス」自体には十分に感じ入るコトができたとは思いますし、翻って他方で映像とか音楽とかに関しては更に分り易く強固なクオリティを擁していたとも思うのですね⇒特に映像は、短編であるコトを鑑みれば相当に高度に凝りまくってたよな~とちょっと驚いてしまいましたよ(3作+αまで、出てくる映像が全部画面サイズ違うんだよな~とかって)。
もう一点、台詞自体(+台詞が織り成す展開自体)は再びごくポエミーだとは言いましても、前述どおりその背景にしっかりとテーマが在るコト+そのテーマが監督の個人的な感情・人間性に根差す「ホンモノのナニか」であるコト自体は、コレは前提知識無しでも何となくは絶対に伝わる程度に表現されていたと思いますし、或いは多少なり前提知識が入っていればより大いにソレに寄り添ってゆけるモノだとは強く思えるのですね。率直に、今後の作品にも期待したいトコロです。