Yui

未来を写した子どもたちのYuiのレビュー・感想・評価

未来を写した子どもたち(2004年製作の映画)
3.9
笑って泣けて、歌って踊って、ピュアなインド映画の印象とは正に真逆。インド、カルカッタにある売春街で生きる子供たちが、一人の写真家と出会い、写真に触れる事で希望や未来を抱く姿を追ったドキュメンタリー映画。

売春街で暮らす子供達。どんな子たちなんだろうと思ったら、キラキラの笑顔がとても可愛い普通の子たちだったのがまず驚いた。そんな環境で育っているから…と、不幸そうな子供たちを想像したのは明らかに私の偏見で、どんな場所でも境遇でも幸せは他人の物差しでは測れないし、測ってはいけないと改めて思った。

とはいえ彼らはまだ子供。売春婦の母、ヤク中の父に育てられ(育てられていればまだまし)、ずっとここにいてしまえば近い将来は売春婦、犯罪者の道しかない劣悪な環境下からどうにか抜け出させたいと思うのが人心だと思うけど、この作品の写真家さんは、実際に売春街に住み、子供達に写真を教え、子供たちの未来の為に善意だけで行動しているんだから本当に凄い、めちゃくちゃ尊敬する。思ったって出来る事じゃない。むしろ出来ない。

カースト制度が上であっても売春で生きている家庭がある事に驚いたけど、カースト制度って私が知らないだけで、ただの階級じゃないんだなって複雑さを感じた。

子供達の笑顔や、撮った写真が本当に素敵で、可能性は無限大なのに環境や親が足を引っ張ったり、売春街に住んでいるから学校に行けなかったり、パスポートを取れなかったりと、足枷が多すぎて頭を抱えてしまった。上手くいかない事が多すぎる…。

それでも、この写真家さんのした事、監督さんがドキュメンタリー映画にした事はものすごく意味も意義もある事だと思うし、知れて良かったと思った。曇りのない笑顔の子供達が、少しでも幸せに生活している事を願わずにはいられない作品でした。


2022-39
Yui

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