みんと

鬼火のみんとのレビュー・感想・評価

鬼火(1963年製作の映画)
4.3
コレは観たかった~!満足!

『死刑台のエレベーター』のルイ・マル監督、モーリス・ロネ、ジャンヌ・モローが再集結したドラマ。アルコール依存症で生きる意味を見失い、死を決意した男の最期の48時間を描いていく...

散々ネタバレ踏んでたけど、全く残念感が無かった。なんならストーリーとかどうでも良いくらい映像と劇伴勝利の作品とも思える。

主演のモーリス・ロネは実際にアルコール依存症を患っていたと言われ、その退廃的なムードはリアリティたっぷりだった。

痺れを切らした頃に登場はジャンヌ・モロー。流石の存在感は言わずもがな、一気に作品が締まって見えるは気のせいかな?


全く共感の余地なく、肯定出来ない心理と突き放せないのが複雑なところ。そもそも主人公が、アルコール依存症になった理由も、自死と言う選択に至ったのかも描かれていない。通して説明的なセリフを全て排除し、それを補うべく何度も流れるエリック・サティのピアノ曲...
日常の中に潜んでいる孤独を見事に表現していたと思う。

観る側の想像力に委ね丸投げし、詩的 或いは哲学を思わせる表現は、いわゆる芸術家脳の持ち主が陥りやすい死に向かわせる心理のようにも...

典型的な鬱映画に違いない。けれど映像は突き抜けてお洒落。何と言ってもエリック・サティの『ジムノペディ』 の劇伴力たるや!

『死刑台のエレベーター』同様、音楽が作品そのものとして記憶に残る作品だった。
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