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追い風のeyeのレビュー・感想・評価

追い風(2019年製作の映画)
3.7
追い風(2019)

安楽監督の20年来の友人 出倉俊輔 氏
彼は DEG(デグ)というラッパー

交友関係はストーリー上のフィクションかと思ったら本当の友達だったという…

デグ氏は恋でも交友関係でも自分の事も常に笑って誤魔化してる

「ヘラヘラしてる」とはちょっと違くて
物事に対して楽観的な姿勢であって

深刻さ・やりきれなさをあまり感じさせず
目の前の出来事をありのまま受け止める

常に笑う事で打ち消して雰囲気も和ませる

デグ氏は誰も傷つけず 常に誰かの背中を押そうと一生懸命励ましている

彼は人にとことん優しいけれど
どこか孤独で精一杯頑張ってるのに救われない

「自分のことを中心に考えてるからラッパーやってる」って弟に言ってたけど

実際 デグ氏は人のために動いてるし
何か頼まれても決して断らない

そんなデグ氏には時折彼の側を回る子どもが現れる

その子は「ごめんね」をひたすら繰り返す

デグ氏 はその子を見つめて時に困った顔をするけど追い払ったり 声を荒げることもない

やっぱり笑っている

彼の幼少期にあたる元々性格の投影した姿
もしくは
本当は叫びたい心の声を具現化した子ども

と思える

その子は幼きながらも とても澄んだ目をしている

上手くいっていない人生の辛さを微塵もみせなかったデグ氏

そんな彼が目頭を押さえて泣いてしまうシーンがある

彼の元来の優しさと反対に湧き出る哀しみがスタジオセッション時に爆発してしまう

あの場面こそ本当のデグ氏の心の声がラップになったと思う

彼には自分が恋をした1人の女性に向けて作った曲がある

それを披露するのは結婚式会場
だけど意中の女性は現れなかった

そんな中 その場にいた皆をアゲることになったのはデグ氏らしいと思う結末だった

自分よりも人のために動く彼のパーソナリティは常にブレずに描かれる

対して 

くよくよしたような姿勢や態度にあえて蹴りを入れるような安楽氏の

「デグ、お前ダセェよ」

には 2人の親密な関係性が見え隠れする

脇目もふらないようなパフォーマンスで
唯一のステージングを見せ続けて欲しいし

応援したくなるような背中がそこにある

向かい風を受け続ける時期があって

でも いつかそれが人生の追い風になって
自由に動き回って欲しい

そんな風に感じさせる映画だった