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追い風のtetsuのレビュー・感想・評価

追い風(2019年製作の映画)
3.9
ムーラボで鑑賞。

なにがあっても、つい笑って誤魔化してしまうミュージシャンのDEG。
映画界で活躍し始めた親友や、学生時代に思いを寄せていた女性の存在、彼らの変化を目の当たりにし、笑顔の裏で様々なものを抱える彼は...。

前年のムーラボ短編『1人のダンス』(のちに長編化)の監督×出演者コンビの新作ということで、一体どうなるのかと期待して鑑賞してみると、まさかの世界観を共通したスピンオフ作品でした!

前作の熱量と比べると、やや盛り上がりに欠ける印象も見受けられましたが、スピンオフとしては予想以上の満足度。
なにより、作り手が物語に自分たちの実体験を盛り込んだ"メタフィクション的な要素"が興味深く、他の作品にはない魅力がありました。

笑って誤魔化す主人公に対して、極端に厳しくなる周囲の人物の演技には、多少とってつけた感が否めなかったですが、「笑顔で悲しみを表現する」という複雑な演技に挑戦したDEG(出倉俊輔)さんの演技は、本作の中でもとりわけ輝いていたように思います。

ただ、前作とは異なり、明るい曲調になったクライマックスの楽曲には、納得できなかったのも正直なところ。
主人公のキャラクターに合わせているのは分かりますが、より、感情を揺さぶる曲になっていれば、素直に感動していた気もします。

というわけで、『1人のダンス』を観た方には、絶対に見逃してほしくない1作!
これからも、安楽監督のユニバース作品が出来ることを見越して、見始めるのにも、うってつけの作品でした!