高橋早苗

力道山の高橋早苗のレビュー・感想・評価

力道山(2004年製作の映画)
3.7
祖国を捨て
相撲部屋に入門したシルラクを待っていたのは
先輩力士達のいじめ


逃げ場もない彼は耐え続け
「力道山」の名前をもらい
関脇までのし上がる

しかしそれから先は・・・
「朝鮮人だから」横綱になれないと
わかった時
彼はまげを捨てた。


酒場で荒れる元関脇を
いさめた男は
プロレスを彼に教える

出身など問われることのない
新しさに惹かれて
アメリカへ渡った彼は

「プロレスの力道山」として
日本に帰ってくる


☆☆★

力士として叶えられなかった成功を
プロレスラーとして手に入れる力道山。

しかし、自分と同じく
海を渡ってきた弟子と友人の前でしか
心を開けなかった彼は

ファンが
こっち向いて笑ってることすら
許せなかった。

自分が負けることも
我慢がならなかった・・・


「ALWAYS 三丁目の夕日」を観た時
テレビが家にやってくると
心待ちにする子供の気持ちは
わかる気がしたけど

そのテレビを、隣近所皆で囲んで
力道山見て盛り上がってるのは
正直よくわからなかった。


・・・力道山て
日本人じゃなかったんだ。

元関脇だから
力道山なんて名前なのね。
・・・てくらいに無知なまま(笑)観たんですが。


つい女の目線でみちゃうんだけど
力士時代しか共に過ごせなかった綾さん
つらいなー
あんな結婚生活キツいよーって
つい思っちゃう。

そのくせ、不思議なほど
最期まで寄り添っているのね。


「自分の運命は自分で決める」
と言って
まげを切り落とした男は
最後まで自分で決めてた。

それが正しいとか
正しくないとか
そんなことはどうでもよくて

とにかく自分で決めることが
大事だった
・・・ように見えた。


何もかもうまくいかない時でさえ
その中で選び続けていた。


いろんなことを
「選べない」人は多い。

力道山に
声援を送ったひと達の目には
彼の
「勝利」を選び続ける姿が
何より眩しく映ったのだろうか。
高橋早苗

高橋早苗